2006 Fiscal Year Annual Research Report
CARSによるダイヤモンド薄膜燃焼合成場の温度分布測定と合成機構の解明
Project/Area Number |
18760156
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
新冨 雅仁 Numazu College of Technology, 機械工学科, 講師 (40290754)
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Keywords | ダイヤモンド薄膜 / 燃焼合成 / 窒素添加 / 等量比 / CARS |
Research Abstract |
CARS(Coherent Anti-Stokes Raman Spectroscopy)を用いて温度分布を測定する際には,測定対象となるガスを慎重に選ぶ必要があるが,本研究では,空間分解能に優れたfolded BOXCARSの位相整合条件で温度測定を行うため,焦点付近においては非常に精密なレーザ光軸の調整が必要となる.窒素を測定対象に選ぶことで,焦点付近を直接観察しながら光軸調整が比較的容易に行えるようになるが,燃焼炎法によるダイヤモンド薄膜合成において,火炎中への窒素混入は成長の阻害要因とされているため,まず,火炎中への窒素添加がダイヤモンド薄膜の成長にどのような影響を及ぼすかを調査した.窒素添加がない場合において最適条件とされるアセチレン/酸素の当量比を2.4に固定した場合,窒素添加率(体積割合)が2%を超えると球状物質が析出するようになり,少量の窒素添加でもダイヤモンド薄膜の成長が阻害されることが確認された.これはNOxの生成に起因する実質的なアセチレン/酸素の当量比の増大が原因と考えられたため,酸素量を増加させ当量比を2.25にまで低下させて窒素添加を行ったところ,CARSによる測定にも十分耐えうる添加率20%にまで上昇させた場合においても,ダイヤモンド薄膜が合成されることが確認できた. 一方,CARSによる測定温度の検定のために,検定セルを作製し,300〜1200Kの空気雰囲気でR型熱電対とCARSによる測定温度を比較したところ,熱電対での測定温度に対し±10%程度の差が生じることが確認された.ただし,CARSでの測定には30秒ほどを要するため,その間の検定セル内の温度の変動が大きな原因と考えられ,実際の燃焼合成場は定常状態であることを考慮すると,合成場の温度分布測定は十分可能であると考えられる.
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