Research Abstract |
本研究の目的は,外力を断続的に与え,柔軟構造物に生じる大振幅の振動を抑制することである.柔軟構造物のモデルとして,座屈した板ばねを用い,Duffig系を構成した. 前年度までの実験的研究により,断続外力を与えることで板ばねの振幅が減少する条件下では,系にヒステリシスが存在していることが確認された.すなわち,板ばねに与える強制変位の周波数を増加させた場合と減少させた場合に,系の振動状態が異なるパラメータ条件下で,振動が抑制された.この結果から,断続外力による振動抑制のメカニズムは,「系の安定解が複数あるパラメータ領域において断続外力を与えることで,系の振動状態が振幅の大きな安定状態から振幅の小さな別の安定状態へとシフトするため」と考えられる.本研究成果をTheoretical and Applied Mechanics Japanに投稿し,採択された. 本年度は前年度の実験装置に,板ばねに与える強制変位の周期で板ばねの振動をサンプリングする装置を付加し,ボアンカレ写像と呼ばれるストロボプロットを取得した.本実験結果から,断続外力により振動が抑制される条件下では,抑制されない条件下と比べ,断続外力印加中と印加後の位相差が少ない傾向がみられた.この結果については今後,確認および検討が必要と思われる.また,板ばねの材質を,これまでのSPCCからSUS430に変更しても,これまでと同様の結果が得られることを確認した. また,モデル化の第一段階として,板ばねを質点に近似した集中定数系モデルを作成し,コンピュータ・シミュレーションを行った.本実験と類似した傾向が得られたが,より実験に近いシミュレーション結果を得るためには,板ばねを連続体としてモデル化する必要があると考えられる.
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