Research Abstract |
近年,高齢者の人口が急速に増加している.高齢者は,一般に加齢に伴い筋力が低下するため,自力での歩行が可能であっても疲労しやすい.また,本人は普段通りに歩いているつもりでも,疲労するにしたがって歩行時の足の位置,角度などが変化していくため,わずかな段差であってもつまずきやすくなる.このような歩行機能低下時の転倒事故により,自信喪失および介護者を必要とする状態に陥るケースが多い.そこで本研究では,高齢者およびリハビリ患者の自立生活の支援を目指すため,足には固定せずに,膝関節や股関節だけでなく,足関節までを含めた下肢全体の歩行支援をする動的歩行補助機を開発した.18年度の時点では,直線方向の歩行のみ補助可能であったが,各種センサを活用しコンピュータの自立化を図ることで,様々な環境での歩行を可能とした,19年度における開発成果を以下に記す. 1.足首のひねりをリンクの変形から検知し,左右の歩幅を調整することで方向転換を可能とした. 2.本装置が平行リンクを用いた構造であることから,腰部背面に傾斜センサを取り付け,装着者の立っている地面の角度を検出し,装置の軌道を補正することで,傾斜面に応じた歩行が可能となった. 3.健常者の階段昇降時の関節角度変化を計測し,装置装着者に応じた制御軌道を生成する手法を提案し,かつ,非接触距離センサを用いて段差との距離を計測することで軌道を補正し,腰きを防止した. 4.SH4およびリチウムイオンバッテリーを装置に搭載し,自立化したことにより,行動範囲の制約を受けず,自由に移動可能となった.また,約1時間の連続稼動による屋外歩行を確認した.
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