2006 Fiscal Year Annual Research Report
雷害リスク低減のための確率的雷分布同定システムの研究
Project/Area Number |
18760212
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
安藤 芳晃 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30323877)
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Keywords | 電磁界解析 / 雷放電 |
Research Abstract |
本研究は、広域雷分布同定の有効な手法として、低周波電磁界を遠隔で連続観測し、電磁界解析と逆問題の手法を用いて確率的雷分布の位置を同定するシステム構築を最終的な目的としている。 本年の取り組みとして、従来はELF帯観測波形をそのままフーリエ変換したスペクトルをシューマン共振の強度としていたが、観測データの前処理として、観測波形からパルスを検出し、線形予測を用いてパルスが存在する数ミリ秒の間のデータを推定することでパルス除去を行い、シューマン共振をより正確に求めることに取り組んだ。線形予測によるフィルタリングにより、全時刻にわたってパルスのみが効果的に除去され、妥当な推定ができた。また、観測値近傍で活発な雷活動がある時刻帯(現地時刻15:00付近)では、直接求めたスペクトルでは共振ピークが乱れているが、パルス除去したものは静穏時と変わらないシューマン共振のスペクトルが得ることに成功した。さらに、北海道において、西日本の商用周波数である60Hzのノイズが観測されることも示された。 もう一つの取り組みとして、逆問題による雷分布推定に用いる正則化パラメタの客観的評価として、任意のノルムを持つ雑音に対し適切な正則化パラメタを評価するGeneralized Cross Validation(GCV)を導入し、適切な正則化パラメタを導出した。最適化した正則化パラメタから求めた結果と、従来の経験的手法による結果の比較を、1999年12月の一ヶ月のデータを用いて行った。また、妥当性検討のため、人工衛星観測であるLISの結果を基準解として検討したところ、観測点から12〜14Mmにおける雷活動が最大のピークとなる位置の推定を正確に同定することに成功した。 以上により、雷分布の推定精度は順調に高まったと言える。
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Research Products
(2 results)