2006 Fiscal Year Annual Research Report
風力発電システムへの雷撃が周辺機器へ及ぼす影響とその対策
Project/Area Number |
18760224
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
山本 和男 神戸市立工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (50332052)
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Keywords | 雷 / サージ / 風力発電システム / 電磁界解析 / 過電圧 |
Research Abstract |
風力発電システムは丘陵地や海岸近くの平坦な場所等,大地雷撃密度が大きな地域に建てられることが多く,さらに,より多くの風資源を得るため,周囲に高構造物が少ない場所に建設される場合が多い。そのため,風力発電システムに雷撃が集中する傾向があり,雷害によるトラブルが多く発生している。特に北陸地方から東北地方の日本海沿岸に発生する冬季雷は,太平洋側や内陸部の夏季雷に比べて非常に大きな最大電流値とエネルギーを有し,高構造物に落雷が集中する性質を持つ。すなわち,雷が風力発電システムにとっては第一の天敵となっている。IEC (International Electrotechnical Commission)規格やJIS (Japanese Industrial Standard)規格で,風力発電システムの雷保護方策が定められてはいるものの,風力発電システム雷撃時の雷被害発生メカニズムが解明されているとは言い難い。最近では,国内においてもNEDOや電気学会が母体となり風力発電システムの雷害対策を目的とした委員会が設立され,風力発電システムへの雷撃と雷被害の関係を解明しようとする動きが活発になっている。 風力発電システムの雷被害は,雷撃時に雷サージ波頭部に発生する過電圧によるものと,長波尾雷によるエネルギー的破壊に分類される。本研究では,前者の過電圧発生メカニズムの解明を目的としている。 風力発電システム雷撃時に周辺あるいはタワー内部に設置された機器が誤動作したり,故障したりするケースが多々ある。この原因は,風力発電システムの設置の電位上昇によるものと,タワー表面を流れる電流による誘導によるものが考えられることがわかった。本年度は,電磁界解析手法の一つであるFDTD法を用いた解析プログラムを完成させ,それを用いて上記の現象について解析的な検討を加えた。その結果風力発電システムの周辺やタワー内部に設置された電力・通信・制御機器が誤動作するに十分な過電圧を確認することができた。さらに,風力発電システムの縮小モデルを作成し,実験の準備を整えた。
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