2006 Fiscal Year Annual Research Report
超均質定比組成ニオブ酸リチウム・タンタル酸リチウム単結晶の評価法と育成条件の確立
Project/Area Number |
18760226
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 雄二 東北大学, 大学院・工学研究科, COEフェロー (50396462)
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Keywords | 直線集束ビーム超音波材料解析システム / 漏洩弾性表面波速度 / ニオブ酸リチウム / タンタル酸リチウム / 分極処理条件 / 化学組成比分布 |
Research Abstract |
優れた圧電特性・光学特性を有するニオブ酸リチウム(LiNbO_3 : LN)やタンタル酸リチウム(LiTaO_3 : LT)単結晶は、弾性表面波(SAW)デバイスや光エレクトロニクスデバイスへの幅広い応用が期待される非常に優れた材料である。所望の特性を有するデバイスを製造するためには材料基板の特性の均質化が必要不可欠であり、特にLNやLTの場合、分極状態と化学組成比の均一化が重要となる。しかし通常、LNやLTはストイキオメトリ(定比)組成(LiとNbの比あるいはLiとTaの比が50:50)からLi欠乏側にずれた組成で成長し、育成結晶の化学組成比を均一に制御することが難しい。本研究では、直線集束ビーム超音波材料解析(LFB-UMC)システムによる漏洩弾性表面波(LSAW)速度の高精度計測による材料評価を通して、光学特性に優れたストイキオメトリ組成のLN、LT結晶(SLN、SLT)、および耐光損傷性を向上させるためのMgOをドープしたコングルエント組成(LiとNbの比が約48.5:51.5)のLN(MgO:CLN)およびSLN(MgO:SLN)結晶の超均質化を目指す。 本年度は、いずれの結晶においても基礎となるCLN単結晶の育成条件および分極処理条件について検討を行なった。これまでの研究成果から、CLNのコングルエント組成は48.475 Li_2O-mol%近傍であると考えられるため、この原料仕込み組成比でCLN単結晶を育成し、そこから分極処理条件検討用ブロック状試料を切り出した。分極処理条件として重要なパラメータとなる電流密度(印加電圧)を変えて処理した9種類の試料を準備し、LFB-UMCシステムによりLSAW速度分布測定を行なった。その結果、0.1mA/cm^2以上の電流密度があれば単分域化が行なえるが、4mA/cm^2を超えると、試料にクラックが入るなどの損傷が生じることが明らかとなった。 また、格子定数測定のためのx線回折装置の安定性について検討した。試料としてSi(111)基板を準備し、X線の波長の安定性に影響を与えるモノクロメータコリメータ周辺温度、X線管球冷却水流量および温度について注意を払いながら、Bond法により計測されるSi(444)面のブラッグ角の安定化に要する時間やその安定性を調べた。
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