2006 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶ベータ鉄シリサイドを用いた冷熱ー電気エネルギー変換の研究
Project/Area Number |
18760228
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鵜殿 治彦 茨城大学, 工学部, 助教授 (10282279)
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Keywords | β-FeSi_2 / 半導体鉄シリサイド / 単結晶 / 熱電能 / n型結晶 |
Research Abstract |
β-FeSi_2単結晶を利用し、室温付近以下で利用できる熱電変換素子の開発を目的として、本年度は(1)通電による変調効果を利用したβ-FeSi_2単結晶育成装置の整備、(2)n型低抵抗結晶の成長、(3)微小試料の熱伝導度測定装置の開発について研究を行った。 (1)の単結晶育成装置については、成長系をこれまでの封管系から開管系にし、Arガス雰囲気で通電しながら溶液成長を行える装置を作製した。これまでの実験で電流を流して長時間成長を行った場合、電極と溶液の界面に薄い酸化絶縁膜が徐々に形成し、電流が流せなくなってしまう問題が生じた。これは、1-2日程度の短時間の実験では見えなかった問題であるが、大型化と変調構造の導入には不可欠であるため装置系の真空シールの改善とガスの種類などによって酸化膜を生じさせない機構を開発する必要がある。 (2)のn型結晶の低抵抗化については、純度5Nの高純度鉄を用いた場合にZn溶媒を用いて5-10x10^<19>cm^<-3>の高い電子濃度の結晶が得られることが判り、抵抗率として室温で約0.2Ωcmの結晶が得られるようになった。この高い電子濃度の起源については現在までに明らかではないが、不純物分析では高純度鉄を用いて成長したβ-FeSi_2結晶の純度は高く、高い電子濃度の起源として化学量論比からのずれが示唆される。熱電素子の高効率化には更に一桁抵抗率を下げる必要があり、化学量論比のずれの影響も含めて不純物ドーピング特性を探る必要がある。 (3)の微小試料の熱伝導率測定では、研究協力関係にある研究グループにより、微小試料の熱伝導率を測定できるレーザフラッシュ装置が開発されたことから、これを用いて2mm角のβ-FeSi_2単結晶の室温での熱伝導度測定を行った。その結果、室温付近においてはβ-FeSi_2単結晶の熱伝導度は焼結法で作成した多結晶材料とほぼ同じ0.2WK^<-1>cm^<-1>であることが判った。
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Research Products
(3 results)