2006 Fiscal Year Annual Research Report
高効率・高安定ナノ結晶シリコン発光素子の開発と光増幅への展開
Project/Area Number |
18760248
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
GELLOZ Bernard 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 助手 (40343157)
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Keywords | エレクトロルミネッセンス / シリコンナノ結晶 / 発光効率 / 動作安定化 / 表面パッシベーション |
Research Abstract |
可視発光および光集積という観点からシリコンテクノロジーの質的進展を志向した研究を行った。すなわち、量子サイズナノ結晶シリコン(nc-Si)ダイオードのエレクトロルミネセンス(EL)効果を本質的に解明し、素子化へ発展させるための学術課題に取り組んだ。本年度は、nc-Si素子の可視発光特性を輝度・安定性の両面で飛躍的に向上させるプロセス技術を重点的に検討するとともに、実用レベルのマルチカラーEL素子さらには光励起による光増幅性の検証を行うための基礎的知見を得た。 具体的な研究項目とそれぞれの成果を以下に示す (1)可視域フォトルミネセンス(PL)の高効率化と安定化に対して高圧水蒸気アニール(HWA)がきわめて有効で、それによってPL外部量子効率を23%にまで向上できることについて、その機構を詳細に解析した。赤外分光などの測定により、HWAにより形成される酸化膜がnc-Si表面のダングリングボンドを完全に終端し、非発光再結合欠陥を低減することを明確に確認できた。また、HWAはnc-Siだけでなく、シリコンナノ細線の構造的光学的性質を安定化できることを見いだし、シリコン系ナノ構造一般にも適用できる方法であることを示した。 (2)HWA処理によりnc-Siドット界面のトラップ密度が低減されてnc-Siへのキャリア注入効率が高まり、EL量子効率が大幅に改善された。また、リーク電流が抑制されてEL動作の長期安定性も著しく向上した。同時に、PLとELの発光スペクトルが一致し、発光起源の同一性を裏付けることができた。 (3)HWA処理による酸化処理はナノシリコンの屈折率制御可能範囲を広げることを多層ミラー装荷光共振器の作製によって確認し、短波長域においても自己吸収の低い光共振器を実現した。これは、次年度で光増幅能を検証するための基礎技術となる。
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