2006 Fiscal Year Annual Research Report
微細Si/SiO2系電子・音響フォノン相互作用エンジニアリングの創成
Project/Area Number |
18760251
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇野 重康 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (40420369)
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Keywords | SOI / 音響フォノン / 閉じこめフォノン / 移動度 / 自立シリコン / 散乱レート |
Research Abstract |
本年度は当初計画通り、Silicon-On-Insulator(SOI)構造での計算に集中した。本補助金による助成前に完成していた電子・音響フォノン散乱レート計算プログラムを拡張することにより、電子移動度のシリコン層厚依存性の算出が可能となった。以前のプログラムからの改善点は、(1)散乱レート計算において導入されていた近似を取り去り、近似のない厳密な散乱レート計算が可能となった。(2)Intra-subband散乱のみに限定されていた散乱機構を拡張し、Inter-subband散乱も総合的に取り扱うことが可能となった。(3)Mathematicaプログラムの計算効率向上により、計算速度が大幅に改善した。(4)電子・音響フォノン散乱律速移動度のシリコン層厚依存性を、バルクフォノン使用時、自立シリコン板フォノン使用時、SOIフォノン使用時の3つの場合について計算できるようになった。以上の改善により、電子移動度はバルクフォノン、SOIフォノン、自立シリコン板フォノンの順で減少することが明らかになった。この減少の原因を詳細に調べるために散乱で主要な役割をもっ形状因子と呼ばれる物理量について詳しい解析を行ったところ、自立シリコン板フォノン及びSOIフォノンを用いて計算された形状因子は、シリコン板面内フォノン波数が大きなところではバルクフォノン使用時と一致するが、小さなところでは増大することが明らかになった。このような増大には表面モードが関与していると考えられ、これは移動度減少の直接の原因となる。更なる解析により、自立シリコン板フォノンを用いて計算された形状因子はシリコン層厚、材料によらないUniversa1な曲線に従うことが発見された。この発見はこのような系での音響フォノン律速移動度計算を劇的に簡略化する大変重要なものである。以上の結果をまとめた予稿は国際学会発表での審査を通過し、H19年度に発表予定である。
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