2006 Fiscal Year Annual Research Report
双方向量子鍵共有法の量子論を用いない性能評価と最良の鍵共有法の構成
Project/Area Number |
18760266
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 隆太郎 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (10334517)
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Keywords | 量子鍵共有 / 量子暗号 |
Research Abstract |
本年度は、従来のBB84量子鍵共有プロトコルにおける古典的な処理(量子力学的な現象を利用しない処理)の部分を変更することによって、従来法の鍵レートを向上させることに成功した。具体的には、Vollbrechtらが提案したエンタングルメント純粋化プロトコルを原理を量子鍵共有プロトコルに適用することにより鍵レートを向上させた。Vollbrecht以前のエンタングルメント純粋化プロトコルおよび量子鍵共有プロトコルでは、2つの量子ビットまたは古典ビットを対にし、そのパリティをそのまま送受信者間で交換し、パリティが一致しない部分を捨てる処理が用いられていた。Vollbrechtらはパリティをそのまま送受信者間で交換せず、パリティに行列を乗じハッシュして得られるビット列を交換する方法を提案した。この方法を量子鍵共有プロトコルに適用した場合、公開通信路で伝送されるデータ量が従来法に比べて減少する。そのため、盗聴者に知られずに共有できる秘密のビット列の長さが増加し、鍵レートを向上させることができる。既存の光ファイバーを用いて量子鍵共有プロトコルを実行する場合、ビットエラーレートは約10%程度であるが、10%のエラーレートにおいて、提案手法は従来法にくらべて1.5倍程度の鍵レートを有している。このことは既に実現されている量子鍵共有装置の量子力学を用いていない部分を変更することによって単位時間または単位光子あたりに共有できる秘密鍵の長さを1.5倍程度に増加させられることを意味し、実用上意義がある結果であると考える。この結果は、2006年9月に北京で開催されたAsian Conference on Quantum Information Science 2006にて発表した。
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Research Products
(1 results)