Research Abstract |
研究申請者は,インターネット上で同報配信型サービスを効率的に実現する手法として,μSEcastと呼ぶパケット転送方式を考案し,PCルータへの実装を進めている.本研究課題では,μSEcastの適用領域を拡大し,より広い範囲で効率的なパケット転送を実現することを目的としている.平成19年度は,(1)動的な経路制御機能の実現,(2)パケット統合効率の向上を行った. (1)では,複数のルータ間でμSEcastを実現する手法として,μSEcastルータが動的に追加・削除された場合の経路制御方式について検討を行った.具体的には,管理サーバを設置し,ネットワーク内のすべてのpSEcastルータを管理することで動的な経路制御を実現する.管理サーバは,pSEcastルータの追加・削除時,及び定期的にルータの生存確認を実施し,動作しているμSEcastルータ間の論理ネットワークを算出,トポロジー情報を各ルータに送信する.μSEcastルータは,受信したトポロジー情報に基づきコネクションを確立する.本方式をPCルータ上に実装し,正常動作を確認した. (2)では,2つの方法でμSEeastによるパケット統合効率の向上を実施した.1つはパケットヘッダ圧縮による統合効率の向上である.統合パケットには,元パケット情報として類似性の高いパケットヘッダが複数含まれる.この領域を効率的に圧縮することで,統合パケットサイズを小さく抑えることに成功した.もう1つの効率向上策は,TCPパケット統合時のパケット順序制御である.TCPパケットを統合すると,パケットの到着順序が変化することがあり,データ再送が頻発するといった問題があった.本研究では,パケット再送が発生するメカニズムを解明し,再送を防止する仕組みとして,受信バッファを追加して到着パケットの順序制御を行う手法を提案した.動作実験により,パケット再送が激減することを確認した.
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