2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形ひずみ存在下におけるOFDM信号のビット誤り率の理論的導出法に関する研究
Project/Area Number |
18760287
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前原 文明 早稲田大学, 大学院情報生産システム研究科, 講師 (80329101)
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Keywords | OFDM / 非線形増幅 / 非線形ひずみ / 帯域制限 / オーバーサンプリング |
Research Abstract |
OFDMは,周波数利用効率に優れており,各サブキャリヤの伝送速度を低く設定し,ガードインターバルを挿入することにより高速伝送において避けることのできない周波数選択性フェージングの影響を低減した情報伝送が実現できる.ところが,OFDM信号は,元来マルチキャリヤ変調信号であるために,複数の正弦波の和の形で構成されることから,各サブキャリヤに割り当てられる変調信号の組み合わせによっては,非常に高いピーク電力が発生する問題点を有する.このため,OFDM信号を非線形増幅器で増幅した場合,非線形性によるひずみが発生し,伝送特性が大きく劣化することが知られている.これまでの非線形ひずみを考慮した伝送特性の理論解析では,ナイキストレートでサンプリングされた離散時間信号を仮定したものが多く,連続時間信号に対して帯域制限された現実的な信号が非線形ひずみにより,いかなる影響を受けるかについて把握することが困難であった.以上の点を鑑み,本研究では,フェージング環境下において非線形ひずみが現実的なOFDM信号に与える影響を理論的に解析することを目的とする.本年度は,その第一段階として,オーバーサンプリングによって,できる限り現実的な連続時間OFDM信号を計算機上に生成し,非線形ひずみがOFDM信号に与える影響を周波数スペクトル,信号点,およびビット誤り率の観点から評価した.特性評価の結果,非線形ひずみの影響を大きくするにしたがって,帯域制限後の信号に帯域外のスペクトルが現れ,信号点にひずみが生じることを確認した.また,変調多値数が増加するにつれて,信号点に生じるひずみの影響が顕著となることがわかった.さらに,帯域制限を施す場合,伝送帯域の両端にフィルタ特性のひずみが生じるため信号点がひずみ,ビット誤りが集中することがわかった.
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