2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760302
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
梶本 裕之 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (80361541)
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Keywords | 計測工学 / 触覚センサ / 皮膚科学 / 線形計画問題 / 逆問題 |
Research Abstract |
20年度は19年度までに得られた半無限大弾性体表面に加わる力分布から弾性体内部へのひずみエネルギーへの変換の原理に関する知見を人間の皮膚に対して適用し、最も効率よく皮膚感覚を生じさせる手法を提案, 評価した. 第一に近接した二カ所の刺激点において、皮膚水平方向に互いに逆向きの変位を加える手法を提案した。この場合、皮膚内部には垂直方向に変位を加えられた場合と同等のひずみエネルギーを生じるが、変位方向を知覚することができず、垂直方向に変位したと錯覚することを確認した。第二に、2点弁別域よりも細かな凹凸を持つ乾山状の接触子によって皮膚を垂直方向に変形させる手法を提案した。この場合、皮膚内部には同じ力で最も効率よく大きなひずみエネルギーを生じる。 いずれの方法も、より少ない力で皮膚のひずみエネルギーを生じさせることが可能であることから、ウエアラブルデバイスのように地面に接して外力を発揮させることのできない場面で有効であると考えられる。 さらに実験の過程で、触覚でよく知られた錯覚現象である仮現運動とファントムセンセーションにおける新たな知見を得た。仮現運動は従来、2点を続けて刺激した場合に連続した運動となるという現象としてのみ理解されてきたが、同時に運動の「太さ」が刺激周波数によって変化することが見いだされた。一方、ファントムセンセーションは従来、2点を同時に刺激した場合に中間の点に触覚を生じる現象としてのみ理解されてきたが、同時に錯覚像の大きさ等の性質が刺激時間によって変化することが見いだされた。以上の知見は人間の触覚知覚に関する高次情報処理モデルの再考を促すものでと考えられる。
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Research Products
(6 results)