Research Abstract |
ハイブリッド同定法の実システムへの適用例が非常に少ないことから,本年度は,主にシミュレーションで基礎的な検討を行った。まず,シーク時とフォロイング時で制御対象の特性が変わる主な原因は,ヘッドアクチュエータを支えるピポッドベアリングの非線形特性にあると考え,この非線形性を,非線形摩擦を有するバネ-マス-ダンパモデルでモデル化した。そして,このようなシステムに正規性白色雑音を入力し,入出力データを取得した。 次に,取得した入出力データを用いて,k-meansとサポートベクタマシンを用いたハイブリッド同定法を適用した。その結果,同定がうまくゆく場合と,そうでない場合があることがわかった。原因を詳細に調査したところ,ハードディスクのように,速度や変位の絶対値によってモデルが切り替わる場合,同定モデルのパラメータが,サポートベクタマシンによって線形分離できないことが明らかとなった。 そこで,メカニカルシステムが,速度や変位の絶対値によってモデルが切り替わる場合のハイブリッド同定法の同定理論の構築を行った。その結果,同定モデルのパラメータを分離する際,線形関数ではなく,2次形式の正負で判定すれば良いことが明らかとなった。さらにこの問題は,多項式カーネルを用いたサポートベクタマシンを用いることで定式化できることがわかり,その有効性をシミュレーションにより検証した。 さらに,実験による検証を行うための環境構築を行った。この環境は,データー取得からシステム同定,及び,検証までの一連の流れをすべて,MATLAB/Simulink上で行うことが可能である。また,リアルタイム制御装置として,業界標準である,dSpace社のDSPボードを用いた。 平成19年度は実機を用いてこれらの理論を検証する予定である。
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