Research Abstract |
平成18年度は, ハードディスクドライブのヘッドアクチュエータの非線形を, 質点の速度や変位でモデルの特性が切り替わるハイブリッドシステムとして表現し, それを, 多項式カーネルを用いたサポートベクタマシンにより切り替え条件を求める手法を提案した。そして, シミュレーションによりその有効性を示した。平成19年度はその有効性を実験により検証し, 平成20年度はその成果を国際会議で発表, 並びに, 論文投稿を行った. まず, ハードディスクのヘッドアクチュエータを模擬した慣性体を駆動する実験装置を作成した。バネ特性及びダンパ特性については, 慣性体の速度や変位で切り換える必要があることから, 慣性体に変位フィードバック及び速度フィードバックを施すことで, 仮想的に実現した。これにより, フィードバックゲインを切り換えることで, バネやダンパが切り替わるハイブリッドシステムが表現できる。今回, 変位及び速度によってバネ及びダンパが切り替わる4つのケースを考えた。そしてこれら4つのシステムに対して, 正規性白色雑音を印加し, 入出力データを取得した後, 本研究で提案するハイブリッドシステムに対する同定法を適用し, 各モードに対応する局所モデルと, 切り替え条件を求めた。これらの実験を通して, 以下の成果が得られた。 (1) 4つのケースにおいて, 単一モデルに基づく従来法よりも, 同定精度が向上することが示された。 (2) 変位によってバネ及びダンパが切り替わるケースでは, 従来法との差が大きく現れた。 (3) 速度によってバネ及びダンパが切り替わるケースでは, 従来法との差はあまり大きくなく, 改善の余地があることがわかった。
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