| Research Abstract |
本研究の目的は,ハイブリッドシステムの最適制御問題に対し,短い計算時間で近似解を導出する確率的解法を提案することである.具体的な目標は,(1)ランダマイズドアルゴリズムと親和性の良い問題のクラスを明らかにし,(2)実際のアルゴリズムを提案する,という2点にある.
本年度は,昨年に引き続き,主として前者の考察を行った.
最初に,代表者が以前に取組んでいたハイブリッドシステムのための確率的可制御性・可観測性解析の手法を再考し,「一般的なクラスのハイブリッドシステムに対しては,確率的手法を用いたとしても,(解の精度を保証するように)最適制御問題を解くことは容易でない」という結論に至った.これは,可制御性・可観測性問題が,Yes/No型の可解性問題であるのに対し,最適制御問題が,評価関数を最小にする最適化問題であることが理由になっている.
これをもとに,システムのクラスを「離散値入力型システム」に限定し,最適制御問題への確率的手法の適用可能性の検討を行なった.その結果,(a)このシステムに対する最適制御問題は,動的量子化器の最適設計問題へ近似的に帰着できること,(b)動的量子化器の最適設計問題は,量子化器の次数を限定しなければ,確定的な凸計画問題に帰着できること,(c)量子化器の次数を固定した場合は,確定的に解くことは難しく,確率的手法が必要であること,そして(d)この問題に対しては,同時摂動最適化法という確率的解法が有望である,という結果を得た.
以上により,第一の目的が概ね達成され,また,第二の目的への足掛かりが得られた.
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