2006 Fiscal Year Annual Research Report
反応速度に基づく炭酸化モデル構築のための基礎的研究
Project/Area Number |
18760336
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 剛朗 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60420501)
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Keywords | コンクリート / 炭酸化 / 劣化予測 / 反応速度 / フリーデル氏塩 / C-S-H |
Research Abstract |
炭酸化によるフリーデル氏塩,水酸化カルシウムおよびC-S-Hの分解実験,炭酸ガスの細孔溶液中への溶解実験を行い,それぞれについて速度の概念に基づきモデル化を行った. フリーデル氏塩およびC-S-Hに関しては,試薬等を用いて合成したものを用い,水酸化カルシウムには試薬を用いた.これらを模擬細孔溶液(pH=13.2のNaOH溶液)中に加えたものを試料とし,炭酸化促進槽内に曝露することで炭酸化実験を行った.槽内の炭酸ガス濃度は0.5,1.0,2.0%と変化させた.曝露終了後,液相についてはpH, Ca^<2+>濃度,Cl^-濃度,溶存CO_2濃度の経時変化を測定し,固相については水酸化カルシウム量,炭酸カルシウム量,フリーデル氏塩量,C-S-H量を定量した.また,溶液中への炭酸ガスの溶解のみを抽出して検討するため,模擬細孔溶液のみを用いて同様に実験を行った.模擬細孔溶液についてはpHをパラメータとし,pHは12.8,13.0および13.2の三種類とした.所定の曝露期間が経過した後,pH,溶存CO_2濃度を測定した. 以上の実験により炭酸化による各水和物の分解性状,炭酸ガスの模擬細孔溶液中への溶解性状を検討した.この結果,フリーデル氏塩の分解がpHのみに依存するものではないことや,模擬細孔溶液のpHが大幅に低下した後にもC-S-Hの一部が残存するといった知見を得,炭酸ガスの模擬細孔溶液中への飽和溶解量はBunsenの吸収係数によって概ね予測可能であること等を確認した. 実験結果に基づき,フリーデル氏塩やC-S-Hの分解速度をH^+イオン濃度およびCO_3^<2->濃度に依存するとしてモデル化し,炭酸ガスの溶解速度を飽和溶存CO_2濃度と溶存CO_2濃度の差に比例するとしてモデル化した.数値解析を行って実験結果と比較したところ,概ねの傾向は数値計算によって再現できており,モデルの妥当性を確認できた.
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