2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760337
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松尾 栄治 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10284267)
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Keywords | 女竹 / 引張強度 / メタルキャッピング / バラツキ / 乾燥 |
Research Abstract |
既往の研究において竹材の引張強度を求めたケースはあるが,いずれも竹材をドッグボーン状に加工した微視的な強度であり,竹筋コンクリート部材としての強度性状を明らかにするには使用する状態での強度測定が必要である。竹材の引張強度を求めるためには鉄筋の引張試験に準じることが合理的となるが,その場合に二つの課題が挙げられた。一つは,竹材には空洞があるために引張試験の握り部において,そのグリップカに耐えられずに圧壊する点,もう一つは竹材の表皮が滑らかであることにより握り部での滑りが生じる点であった。平成18年度は予備実験の結果,握り部における竹材の空洞中にコンクリート用のメタルキャッピング材を充填することで圧壊を防ぐことが可能であることを明らかにした。また引張試験中に荷重に応じてグリップペダルを人力により締め付ける簡易的な方法で滑りの防止に成功した。具体的な方法を下記に示す。 山口県下関市内から伐採した118本の女竹に対して,前述の方法により引張試験を実施した。伐採時期は竹材が冬眠状態に入る11月以降とした。実験要因は竹材の乾燥状態,平均外径および平均内径とした。乾燥状態については気温20℃,湿度45%の高温養生室にて質量変化がなくなるまで乾燥させた竹材および伐採数目以内の竹材を水準とした。 その結果得られた主な結論は以下の通りである。 (1)空洞を有する女竹の引張破壊荷重は、メタルキャッピング方式による空洞補填、および荷重に追随したグリップ力の増加により測定可能となった。 (2)女竹の引張強度は小さいが。引張破壊荷重はSR235-φおよびSD295A-D6の降伏点荷重の範囲とほぼ同様である。 (3)女竹の引張破壊荷重はバラツキが大きいため,乾燥させて使用することが望ましい.乾燥させることにより引張破壊荷重が増大しバラツキも小さくなる。 (4)上記の原因は波形形態にあり、乾燥させた場合は部分破壊する確率が高くなるため強度性状が改善されると推察される。
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