2006 Fiscal Year Annual Research Report
気象モデルとニューラルネットワークによる強風時の列車運行支援システムの開発
Project/Area Number |
18760345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 敦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (00376500)
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Keywords | 観測 / 気流解析 / 強風予測 / 列車運行管理 / 鉄道沿線の風況予測 / 運行規制手法 |
Research Abstract |
現在鉄道の運行規制は,規制区間内の1地点から数地点における観測風速に基づいて行われている.この手法には,観測点で発生する強風イベントを確実に捉えることができるという利点があるが,観測地点以外での強風は捉えることができないという課題がある.そこで本研究では,観測と気流解析の長所を組み合わせることにより,1地点の観測値から規制区間内における任意地点の瞬間風速・風向を予測し,運行を規制する手法を提案するとともに,転覆限界風速が風向角による変化を考慮した場合の規制風速の発生確率および防風柵を設置した場合の低減効果を定量的に評価した. 18年度はまず,1地点の観測値と気象庁やヨーロッパ中期気象予報センターが提供する客観解析をもとにしたメソスケール気象モデルおよび風況予測モデルによる気流解析結果を組み合わせることにより,鉄道沿線の任意地点の風速を定量的に予測する手法を開発した.その結果,1地点の観測から風速が急激に増大する強風イベントを再現することも可能であるとともに,年間の風速別出現頻度も精度よく予測できることを実測データと比較することにより確認した.また,運行規制区間をサブ区間に分割し,局所風況を考慮した運行規制風速の推定手法を提示すると共に風向および防風柵の効果を考慮した年間の運行規制風速の発生確率を評価し,以下の結論を得た.(1)地点間の風速の相関を考慮した運行規制風速の推定手法は,比較した3手法の中で最も観測結果と適合することが分かった(2)風向と防風柵を考慮した評価手法を用いる場合には,運行規制風速の発生時間は風向を考慮しない場合により30%減少し,また防風柵を考慮することにより更に減少することが明らかになった.
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