2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ起振器と統計学的信号処理による構造物の簡易損傷検出手法の開発
Project/Area Number |
18760354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 愛子 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (00380585)
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Keywords | 損傷検出 / マイクロ起振器 / 統計学 / 信号処理 |
Research Abstract |
マイクロ起振器を用いた振動実験による構造物の損傷検出手法の開発に関する研究に取り組んでいる.平成18年度は,計測データに含まれる外乱の影響を除去する手法の開発に取り組んだ.また,開発した手法でノイズを除去することが可能であるのかを数値解析により検証し,さらに,ノイズを除去した振動データを用いて損傷を検出することが可能であるかを数値解析によって検証した.ノイズを除去するための手法として,信号処理における加法的な雑音の除去や,通信分野における混線信号の分離など,近年幅広い応用がなされている「独立成分分析」と呼ばれる手法を採用することとし,この手法を,起振器によって励起された応答だけを抽出する手法に発展させた. 一般的な独立成分分析は,複数の源信号が"線形混合"された観測信号の分離手法である.一方,構造物の外力(源信号)と応答(観測信号)の関係は,"デコンボルーション"であるので,独立成分分析をダイレクトに適用することはできない.しかし,観測波形を"時間・周波数変換"すれば,各周波数に対しては外力と応答は線形混合の形となる.このことを利用すれば,独立成分分析の理論を適用できる.これにより,複数の外力を受けた構造物の応答から,起振力による応答を分離できることになる.手法の有用性を検証するため,有限要素法による数値解析により,マイクロ起振器を用いた振動実験を模擬した.起振器以外の外力として,床振動を想定した.このように,マイクロ起振器による調和外力と床振動を同時に受ける構造物の応答を数値解析により算出し,この算出された応答に対して独立成分分析を適用した.そして,提案したノイズ除去手法により起振器による応答を高精度で抽出できることを示した.また,除去された起振応答を用いて構造物の損傷を同定できるかどうかを検証した.
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