2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ起振器と統計学的信号処理による構造物の簡易損傷検出手法の開発
Project/Area Number |
18760354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 愛子 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (00380585)
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Keywords | 損傷検出 / マイクロ起振器 / 統計学 / 信号処理 |
Research Abstract |
マイクロ起振器を用いた振動実験による構造物の損傷検出手法の開発に関する研究に取り組んでいる.平成19年度は,連立方程式の理論誤差に基づき,モデル化誤差と計測ノイズの影響下で精度よい損傷同定結果を得るための最適計器配置および最適起振振動数の決定方法を提案した.マイクロ起振器を用いた同定手法は,振動データ毎に得られる方程式を組み合わせた連立方程式を解くことで部材毎の損傷度を同定する.連立方程式の解に含まれる理論誤差に基づき,理論誤差が小さくなる計器配置・起振振動数を「最適」と見なすこととした.損傷同定の推定誤差の上界は,モデル化誤差,計測ノイズと連立方程式の係数行列の条件数によって与えられるため,モデル化誤差,計測ノイズの存在下で精度よい解を得る為に,条件数が小ざい連立方程式となる計器配置・起振振動数を選択することとした.片持ち梁を用いた数値解析を通して,計器配置と起振振動数が条件数や同定誤差に与える影響を調べた.その結果,適切なデータの数を増やすことで条件数が小さくなることがわかった.条件数が非常に大きな値(ピーク値)を取り,大きな誤差を与える起振振動数があるが,データ数を増やすことで,このような起振振動数の数を減らすことができることがわかった.低い起振振動数と条件数がピーク値をとる起振振動数は,同定誤差が大きいので避けるべきであることがわかった.条件数が下に凸となる起振振動数に対する同定誤差は比較的小さいので,選択するとよいことがわかった.また,十分な数の計測点が得られない場合は,条件数が小さい起振振動数を複数用いてデータを蓄積すれば,起振点数を増やすよりも同定精度が高くなること,隣接した起振振動数を用いる場合は,起振点数を増やすよりも効果が低いことがわかった.数値シミュレーションによって,提案手法の有効性を示すことができた.
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