2007 Fiscal Year Annual Research Report
波の侵食作用に起因する斜面崩壊機構の解明とその安全性評価法の提案
Project/Area Number |
18760355
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 志麻 Muroran Institute of Technology, 工学部, 講師 (90258707)
|
Keywords | 波 / 侵食 / 斜面崩壊 / 模型試験 |
Research Abstract |
全海岸域の80%を占めると言われている海岸崖の侵食及びそれに起因する被害が世界的にも数多く報告されている.今後,温暖化によって生じるとされる海面上昇や地下水位の上昇を考慮すれば,この問題は深刻化する可能性があり,早急に検討する必要があある.本研究では,lg場模型実験と実海岸崖の現地調査を行い,波の侵食に起因する海岸崖(Soft cliff)の崩壊機構と侵食現象の特徴を調べている.上記の現象を把握するために,今年度は,北海道東部に位置する海食崖から採取した不撹乱試料(標津土と称する)に対して三軸圧縮(CU, CD, UU)試験を実施し,海食崖の非排水・排水変形一強度特性を明らかにしている.なお,不撹乱試料は,ブロックサンプリング法によって採取されている.特に,以下に示す2種類の不撹乱三軸供試体が準備されている.(1)BV供試体:供試体の軸方向が原地盤の鉛直軸と一致したもの.(2)BH供試体:BV供試体を90°回転させたもの. これまでに得た結論は次の通りである.(1)標津土の強度-変形特性は密な砂が示す硬化一軟化型の挙動と類似している.(2)BV供試体はBH供試体より変形抵抗が大きく,高いせん断強度を有している.(3)排水,非排水試験のせん断抵抗角φ_δ,φ'と破壊時の平均有効主応力p_f'との関係では,破壊時の平均有効主応力p_f'の増加に伴い,φが減少傾向を示す.また,BH供試体のφ'とBV供試体のものとの差は約3°である. これらのことから,本試料においては拘束圧依存性と構造異方性の適切な評価は原地盤(斜面)の安定性を評価する上では極めて重要な要因となることが明らかにされた.
|