Research Abstract |
平成18年度は,構成則におけるMH飽和率依存性のモデル化を行った.研究代表者は既に,不飽和土の多相連成解析手法をもとに,平均間隙圧力を用いた有効骨格応力を定義し,不飽和土の構成則中の応力変数とする方法を提案しており,本研究でもこれを用いた.ハイドレートの地盤中での存在形態については,現在のところ,ハイドレート粒子が土粒子間隙中に浮遊して存在する"間隙浮遊型",あるいはハイドレートが土粒子間を固着しセメンテーションの役割を果たす"土粒子固着型"のいずれか,またはこれらが混在した状態であるとされている.いずれの場合にも,MH含有地盤の力学挙動はハイドレート含有率に大きく依存すると考えられる.そこで方法を参考にし,降伏曲面の移動・縮小によって,ハイドレート分解に伴う粘着力の減少および構造劣化をモデル化する方法を用いた.提案した構成式を用いて,模擬MH含有試料を用いた実験結果をシミュレーションし,改良および検証を行う.また,基礎試錘で採取された天然コアによる力学試験結果と併せて,構成則および必要となる材料パラメータについて分析した. また、上述の構成モデルを検証するため,MH含有地盤材料の強度特性,特にMH飽和度が強度変形特性に及ぼす影響を調べた.試料は間隙浮遊型,土粒子固着型のそれぞれを模擬したハイドレート含有地盤材料を使用する.南海トラフでの開発対象地盤は砂質土と粘性土の互層からなることから,それぞれの地盤材料の模擬試料を用いて試験を行った.ハイドレート飽和率を20%〜60%に変化させた種々の試料を用いて,強度,変形特性を比較し,力学特性におけるMH飽和率依存性を調べた.また,軸ひずみ速度を0.005%/min,0.05%/min,0.5%/minに変化させ,ひずみ速度依存性を調べるとともに,弾粘塑性構成式中の粘塑性パラメータを決定した.地盤材料,MH粒子の存在形態,MH飽和率による挙動特性の違いを詳細に検討し,構成モデルの検証および各材料パラメータの決定を行った.
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