2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760364
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
平川 大貴 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (40372990)
|
Keywords | ジオテキスタイル / 補強土構造物 / 橋梁 / 安定性 / 残留変形 / 耐震性能 / 土圧 |
Research Abstract |
支承を有しない壁面工と橋桁が一体となった橋梁構造物の背面土をジオテキスタイルで補強して壁面工と定着させたジオシンセティックス一体橋梁(以下、GRS一体橋梁)の模型を作成して次の様な系統的な模型載荷実験を行った;a)常時での主要な変形要因である気温変動に伴う橋桁の強制水平繰返し載荷による背面土の残留変形特性、b)耐震性能を検討するための振動台実験。それぞれの実験的検討から得られた重要な知見を以下にまとめる。 a)常時安定性(気温変動に伴う橋桁の強制水平繰返し載荷による背面土の残留変形特性):背面土が無補強の一体橋梁では、気温変動に伴って橋桁が熱膨張収縮した結果、壁面工に強制的な繰返し変位が生じる。このメカニズムをまず特定した。気温低下に伴う橋桁の熱収縮によって壁面工が主働側に変位し、背面土も壁面工の動きに追従する。一方、気温上昇により橋桁が熱膨張して壁面工は受働側に変位するが、背面土は元の位置に戻れずに水平方向に押し固められる。これを繰り返すうちに壁面土圧の増加を伴い、背面土の沈下は累積する。このメカニズムから背面土を高分子補強材(ジオシンセティックス)で補強して壁面工に接続する事で有効な補強材張力が生じ、橋桁の熱膨張収縮が生じても背面土の変位を抑制出来た。 b)GRS一体橋梁の耐震性能や動的破壊要因を検討するため、振動台実験を実施して動的安定性を検討した。この結果、橋桁があるために重心位置が高いために一般的に耐震性能が高くない橋梁構造物において、破壊時加速度が1,000galを越える高い耐震性能を有することが明らかになった。さらに、この高い耐震性能は壁高の4倍長い橋桁長の構造体まで保持する。また、さらなる高耐震化のために、GRS一体橋梁の地震時破壊要因を調べた。GRS一体橋梁の地震時破壊要因は、補強材層の引き抜けか、補強材と壁面工との定着部での破断で定まった。これより更なる高耐震化のためには、まず補強材と壁面工との定着強度を増加させ、さらに盛土材と高い引き抜き抵抗を有する様に面状で格子状の高分子補強材を選択する事が重要である事が分かった。 上記の結果から、常時での安定性に優れ、かつ高い耐震性能を持ち、維持管理にも優れた橋梁構造物を提案した。
|