2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工リーフやサンドバイパス工法による複雑な漂砂移動機構の解明とその予測技術の開発
Project/Area Number |
18760370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 芳満 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (20420242)
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Keywords | 海浜変形予測 / 漂砂量 / 人工リーフ / サンドバイパス / 砕波 / 海浜循環流 |
Research Abstract |
海岸保全工法として近年用いられる事例が増えている人工リーフやサンドバイパスは,環境や景観へのインパクトが比較的小さい反面,周辺で生じる海浜変形現象は複雑で予測が難しく,その最適な設計手法は確立されていない.本年度の研究では,特に人工リーフ周辺における海浜変形を支配する外力条件となる波と流れの3次元構造を解明することに焦点をあて,以下に示す研究成果を得た. まず平面水槽に潜堤を設置し,その両側の潜堤から離れた位置に汀線と直交する2枚の導波板を置いた.この条件で様々な波形勾配の規則波を直入射させ,潜堤周辺における水位変動や流速場を計測した.ここで流速の計測にはPTV(Particle Tracking Velocimetry)法を適用し,比重の異なる粒子を用いることによって異なる水深における平均流速成分の平面分布を抽出した.さらに電磁流速計を用いて固定点における流速成分の時系列データを記録し,PTV法の妥当性を確認した.以上の実験結果より,入射波の波高や周期の条件によって潜堤岸側における流況は大きく異なり,条件によっては潜堤開口部から沖側へ向かう離岸流が卓越することが分かった. 次に潜堤上の急激な水深変化に伴う反射や砕波,それに伴う海浜循環流,さらに波・流れ干渉といった,潜堤周辺における複雑な水理現象を同時に算定することのできるモデルとして,ブシネスク方程式法に透過層モデルを組み込んだ新しい数値モデルを構築し,上述の実験条件に適用した.その結果,一般的に用いられる拡散型の砕波減衰モデルでは砕波減衰量は妥当に再現できても,潜堤岸側に生じる海浜循環流を過剰に平滑化する傾向があることがわかった.これに対し,波向を勘案した異方性を有する拡散係数を用いることにより,波浪変形と海浜循環流を妥当に再現できるようになることが分かった.
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