2006 Fiscal Year Annual Research Report
河川ローカルリモートセンシングのための可視化トレーサーとしての水面波紋の性能評価
Project/Area Number |
18760374
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮本 仁志 神戸大学, 工学部, 助教授 (50283867)
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Keywords | 水工水理学 / 可視化センシング / 開水路乱流 / 自由水表面 / 水面波紋 / 環境水理実験 |
Research Abstract |
河川幅規模のローカルリモートセンシングにおいて中核をなす計測技術のひとつは,水面可視化画像の微小波紋を追跡することによる表面流速分布の測定である.しかし,この水面波紋がパッシブな可視化トレーサーとして利用可能かどうかの流体力学的視点からの検討は未だ行われていない.本研究では,室内水理実験により水面の力学的挙動を基礎から再考察し,河川水面の可視化情報から流速分布,流量など河川計画管理上必要な水理量を推定する理論モデルの構築を最終的に目指す.その中で本研究課題の初年度においては,開水路乱流において可視化トレーサーとしての水面波紋の性能を的確に評価するために,良くコントロールされた室内水理実験による水面波紋計測を実施した.研究課題の当初計画段階では,研究代表者らが開発した水面・流速の可視化同時計測法に対して計測断面に直交する水路横断方向にも水面変動が測定できるような計測システムの拡張を目指したが,具体的には,可視化同時計測での水理条件と同条件下で実験を行い,水路横断方向の水面波紋に焦点をあてた計測を高精度超音波式変位センサを用いて実施した.水理条件としてはフルード数を系統的に常流から射流まで変化させた実験を行い,水面変動の時系列,変動強度,および空間固有モードなどの横断方向の水面変動特性を検討した.その結果,水面変動の時系列は長周期の変動成分と水面の細かな動きを表す高周波数の変動成分に分けられ,水面変動強度はフルード数に伴って増加することが確認された.得られた長周期変動成分に固有直交関数展開を適用した結果,水面変動の空間卓越モードはフルード数に拘わらず全体的に上下に変動する成分となることがわかった.これらの成果と流下方向に計測断面をもつ可視化同時計測の結果をあわせて考究すると,開水路乱流で卓越する水面変動成分は流下方向に伝播する二次元的波動である可能性が実験より見出された.
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