2007 Fiscal Year Annual Research Report
農業活動が盛んな流域における水物質循環の健全性評価に関する研究
Project/Area Number |
18760375
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
江種 伸之 Wakayama University, システム工学部, 准教授 (00283961)
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Keywords | 紀の川 / 農業集水域 / 河川調査 / 河川水質 / 分布型水流出モデル / 汚濁負荷量解析 / マクロモデル / GIG(地理情報システム) |
Research Abstract |
本研究は,農業活動が盛んな流域(農業集水域)に注目して,水環境変化の原因となる水量・水質,および結果となる水辺生態系の因果関係を明らかにし,農業活動が盛んな流域の持続可能で豊かな水環境の構築に関する学問的基礎の確立を目指す.対象地は稲作とともに蜜柑,柿,桃などの果樹栽培が盛んな和歌山県北部の紀ノ川流域である. 平成19年度には,次の2つのテーマを中心に研究を進めた. 1.紀の川中流部における全リン濃度上昇の要因解明 国土交通省の水質モニタリングデータによると,紀の川中流部では,全リン濃度が1990年代後半から2000年代前半の数年間のみ大きく上昇していた.対象区間の最下流地点には農業用取水堰があることから,平成19年度には内部生産の影響を検討するために河川水質調査を実施した.しかし,野外調査から内部生産の影響を示す具体的なデータは得られなかった.そこで,汚濁負荷量解析を実施して,過去10年間に流域から排出された窒素とリンの量(排出負荷量)を算定した.その結果,1990年代後半から2000年代前半にかけて,この地域では産業系全リン排出負荷量が大幅に増えており,河川中の全リン濃度が上昇していた時期と一致した. 2.農業集水域に適した水物質循環解析モデルの開発 農地からの肥料成分流出量の低減や渇水時の瀬切れ防止を目指すには,流域内の水と物質の循環を空間的かつ動的に解析する必要がある.そこで,農業集水域に適した水・物質循環解析モデルの開発を行った.その結果,農業用水取水によって紀の川の流量は大きく変化していることが推察された.また,農地からの栄養塩物質(窒素とリン)の流出は秋の施肥時期に多いことが推察された.
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Research Products
(1 results)