2007 Fiscal Year Annual Research Report
強混合型の感潮河川における底質フラッシュと再堆積過程に関する研究
Project/Area Number |
18760380
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
横山 勝英 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 准教授 (10347271)
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Keywords | 水工水理学 / 底泥 / 浸食速度 / SS / 回転粘度 / 洪水 / 粘着性 |
Research Abstract |
本研究では感潮河道の地形・底質変動特性を明らかにすることを目的としている。昨年度は筑後川感潮域において河床の月ごとの変動状況と底質物性の分布・変動状況を詳細に調べた。今年度は特に,洪水時の浸食過程に焦点を絞って研究を進めた。 洪水時の底泥浸食過程を計測するために,水温計をグラスファイバーロッドに連接した浸食計測装置を新たに考案して底泥中に埋設し,底泥の浸食状況を水温と泥温の違いから時系列的に捉えることに成功した。粘着性土の浸食速度は主に室内実験で調べられており,現地で真の浸食速度を計測できた意義は非常に大きい。 別途計測した流速鉛直分布から底面剪断応力を推定したところ,1.8N/m^2を越える状況で浸食が顕著に進行する様子が見られた。さらに浸食速度E_sと摩擦速度u^*の関係を整理し,E_sはu^*の3乗に概ね比例することを示した。ただし,浸食係数はカオリン粘土などを用いた既往の実験値よりも1オーダー低かった。 この原因を考察するために底泥コアの粒度分布,含水比,回転粘度を調べた。回転粘度はローターが回転をはじめる際の最大トルクを計測しており,これは底泥の粘着力や剪断応力に相当すると考えられる。その結果,底泥の粘着力は現地堆積状態(不攪乱)の方が乱した試料(カオリン粘土の実験に相当)よりも数倍大きかった。すなわち感潮河道では底泥が強固な構造性を形成し,それによって実験粘土よりも浸食されにくくなると推測された。既往の土質実験によれば,短期的(数ヶ月)な圧密実験では底泥の凝結は生じにくいと報告されているが,筑後川の底泥堆積期間は数ヶ月から最長でも1年でも1年であるため,既往の知見では説明できない短期的な凝結作用が生じていると考えられる。
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[Remarks] 横山 勝英:有明海への土砂流入と底質環境,海洋と生物,173号,Vo1.29,no.6,pp.571-576,2007(特集号,依頼執筆)