Research Abstract |
近年の公共における財政状況を考慮すると,公共施設はライフサイクルコスト(LCC),すなわち,その建設・供用(維持管理を含み)・廃棄に至るまでに発生する費用を考慮して管理される必要がある.道路構造物のLCC評価は,道路構造物としての橋梁,橋脚,トンネル,路盤,路床,舗装など,その全ての要素を総合的に捉える必要があるが,本研究はその第一段階として,道路舗装を対象としたLCC評価モデルの構築を行った. 道路舗装のLCC評価では,道路舗装の劣化修繕費用,維持管理費用,舗装の劣化による燃費低下が寄与する走行費用,修繕作業に伴う交通遅延費用が用いられるのが一般的である.しかし一般的には,道路舗装の劣化に伴う走行費用の増加,あるいは道路舗装の修繕作業時における交通容量の低下により,道路利用者は経路選択を変化させるものと考えられる.また,積雪寒冷地における路面管理を想定すると,夏期の路面劣化管理だけではなく,冬期の雪氷路面管理も考えなければならない.なぜなら,冬期路面管理レベルによって交通機関選択や道路の経路選択特性が変化すると考えられるためである.特に冬期の路面管理に関する技術向上は,その維持管理費用の高さから考えても切実な課題である.本研究は,積雪寒冷地の路面管理問題に関して,LCCの観点から評価を行う技術を提案するものであり,基礎的な段階にあるが,積雪寒冷地の特性を包括的かつ体系的に考慮した路面管理技術の構築を行うものである.冬期路面管理については,その管理レベルは,凍結防止剤散布によって制御可能と仮定し,凍結防止剤散布による経路・交通機関選択行動の変化を内生化し,これと凍結防止剤散布による影響も総合的に捉えた道路舗装のLCC評価モデルを構築している.
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