Research Abstract |
平成18年度では,まず,本研究課題の基礎となる,申請者が提案した確率的交通均衡モデルを発展させた.発展させた点は,各OD(起終点)の交通需要毎にその平均と分散を設定することを可能とした点である.そして,比較的データの入手が容易な交通ネットワークのリンク交通量データを用いて,最尤推定法による各種手法を確立した.従来用いれてきた最小二乗法では,本来相関があるはずリンク交通量を独立に扱っており,統計学上問題があったが,本最尤推定法ではその問題を解決している.本年度開発した最尤推定法により,交通ネットワーク均衡モデルと整合性を持って,OD交通量推定やリンクパフォーマンス関数(旅行時間数)のパラメータ推定,時間価値やその他の交通行動パラメータの推定が可能となった.また,最尤推定法を用いることによって,従来法では行うことが出来なかった推定パラメータの信頼性や推定したモデルの妥当性の検討を行うことが出来る.具体的には,尤度関数のヘシアン行列(二回偏微分)を用いて,t値を計算し,それにより,推定パラメータの統計的信頼性を検討する.また,尤度を用いて,AICなどの指標を計算し,推定したモデルの妥当性の検討とともに,最適モデルの選択も可能である.本最尤推定法の妥当性の検討のために,仮想ネットワークに適用し,考察を行った.また,次年度に行う予定の金沢道路ネットワークへ上述の理論や手法,モデルを適用するためのデータ整理も並行して行った.
|