Research Abstract |
本研究の目的は,(1)「都市から河川を見る」,(2)「河川から都市を見る」,(3)「都市と河川の接点を見る」の3点である。 (1)に関しては,河川周辺における歩行シークエンス分析を行った。デジタルカメラで撮影した静止画を閉鎖的空間要素(黒)と開放的空間要素(白)と水面要素(青)に分解し,シークエンス体験を記述するモデルを提案した。また,シークエンス体験を記述する指標として,「予測」を考慮した空間開放度という値を提案し,「学習」を考慮した傾向開放度,ゆらぎ成分を導き出した。その結果,空間開放度,傾向開放度,ゆらぎより,シークエンス体験の「連続」と「変化」を数値的に導き出した。(2)に関しては,都市と河川の境界を横断面図によって分析した。すなわち,横断面図に表されるここの要素を,配列の傾向として整理し、その傾向が示す現象を、断面形状と現地写真から分析し、RCモデルを提案した。また,RCモデルより、視覚的に境界を位置付け、さらに境界の立地条件を4分類した。また、街と川の繋がりを考える上で、重要な場所となることを示した。最後に,4分類した境界の立地条件ごとに、境界ではなく街と川を繋ぐ場所と認識される為のデザインポイントを挙げた。 (3)に関しては,申請者らが関わった長崎県佐世保市日野川における橋詰めデザインの実例に基づいて考察を行い,空間構成と人の動きに着目することによって,体験をデザインすることにつながった.例として,細かなレベル差を解消するために全体を階段広場としたが,そうすることによって,堤防線を変更し河川空間を広くし,交通量の多い車道との分離を行ない,ベンチなどを置かずに人々が集える空間を創り出した。
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