2006 Fiscal Year Annual Research Report
水道原水等に含まれる医薬品類の塩素処理による除去特性に関する研究
Project/Area Number |
18760409
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
島崎 大 国立保健医療科学院, 水道工学部, 主任研究官 (60322046)
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Keywords | 医薬品 / 塩素処理 / 分解速度 / 機器分析 |
Research Abstract |
医薬品9種類(イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、フェノプロフェン、プロピフェナゾン、ゲンフィブロジル、クロフィブリック酸)を対象とした塩素処理実験を行った。各医薬品のメタノール混合原液を用い、濃度が各100μg/Lとなるよう精製水に添加し、リン酸緩衝液を用いてpH7.2に調整した。有効塩素濃度が1mg/Lとなるよう次亜塩素酸ナトリウムを添加した後、直ちに密封、遮光し撹拌を行った。接触時間1.4および24時間の試料について、残留塩素濃度の測定を行い、チオ硫酸ナトリウムを添加して残留塩素を除去した後、医薬品濃度の分析を行った。 各医薬品の分析は固相抽出-誘導体化-GC/MS法によった。塩酸でpH2以下に調整し、内部標準物質として2,3-dichlorophenoxyacetate、chrysene-d_<12>を加え、活性化した固相カラム(Waters製Sep-Pak Plus C18)に抽出し、ジクロロメタンで溶出した。その後窒素ガスで乾固し、PFBBrとトリエチルアミンを加え110℃で1時間静置して誘導体化後、再乾固しトルエン1mLを加え検水とし、GC/MS(Agilent製HP6890およびHP5973)で測定を行った。 各医薬品は、塩素接触による反応特性から(1)24時間後の残存率が80%以上であるもの(イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ゲンフィブロジル、クロフィブリック酸)、(2)24時間後の残存率が30%以下まで減少したもの(ナプロキセン、ジクロフェナク)、(3)1時間後に検出されなかったもの(インドメタシン、プロピフェナゾン)に分類された。このとき、24時間後の残留塩素濃度は0.64〜0.86mg/Lであった。各医薬品はすべて芳香族化合物であるため、フェノール類と同様に主にベンゼン環の塩素化が生じている可能性がある。
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