2006 Fiscal Year Annual Research Report
被災鋼構造骨組の即時損傷評価・予測システムの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18760413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 拓海 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (50376498)
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Keywords | 建築構造 / 鋼構造 / 耐震 / 地震応答解析 / 地震応答実験 / 非線形数値シミュレーション / 降伏曲面 |
Research Abstract |
地震動入力に対する鋼構造建物の地震荷重効果を評価する手法を大幅に省略化する手法を提案し、骨組模型の地震応答実験や数値応答解析の応答結果と比較し、有効性や適用性を検討した。本手法は、モード数を低減した部分モード空間を対象とすることで、解析精度を維持しつつ、計算時問を短縮させることが可能となる。また、モード復元力空間における構造物の塑性崩壊に関する安全領域を、種々の幾何学形状(凸多面体、超楕円体、平行四辺形など)の崩壊面モデルでグローバルに近似し、弾塑性応答挙動を短時間で精度良く追跡できる。崩壊面モデルは、複数の荷重分布形による弾塑性荷重増分解析を実施し、未知の崩壊面上の崩壊荷重を数点求め、これらを参照点として幾何学形状のモデルに近似して得られる。このとき採用する複数の荷重パターンは、地震時の生起確率が高く、損傷に寄与する振動モード成分を選択して組合せる規範を提案し、複数のモード成分の影響を考慮した損傷予測法の可能性を示すものである。 得られた崩壊面モデルを用い、その内部では構造物は弾性挙動、荷重軌跡が崩壊面モデルに達した場合に崩壊モードが形成されると仮定することで、弾塑性復元力の更新の省力化を実現することが可能となり、地震応答実験結果や詳細な応答解析結果のグローバルな弾塑性挙動を精度良く追跡することが可能であることを確認した。 さらに、部材要素のレベルでは妥当と考えられている鋼材の歪硬化特性を考慮した降伏曲面の硬化則を、骨組架構の降伏曲面モデルに対しても適用が可能かどうかを検討した。そこで、硬化則を骨組架構の降伏曲面モデルに適用するための定式化を行った。さらに、近年、新規建物のみならず既存建物の耐震補強や地震応答低減を目的として使用される履歴型ダンパーを、試験構造物模型に組み込んで地震応答実験を実施し、本提案手法は実験結果を精度良く追跡できることを確認し、その有効性を実証した。
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