2006 Fiscal Year Annual Research Report
滞在者の環境適応を考慮した温熱環境制御に関する研究
Project/Area Number |
18760437
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 淳太 東海大学, 工学部, 講師 (30350482)
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Keywords | 熱的快適性 / 半屋外環境 / 環境適応 / 駅 / 実測調査 / 不満足者率 / パッシブ / 環境計画 |
Research Abstract |
近年、鉄道駅は単なる通過空間から滞在可能な空間へと変わり始め、構内の熱的快適性が見直されつつある。一方で、駅の特性を無視した安易な空調による環境改善事例も多く見られる。そこで、滞在者の環境適応を考慮した温熱環境改善計画の立案を目的として、まずは現状分析のためにJR立川駅において実測調査を行った。調査は最も改善が望まれている夏季を対象とし、7/19〜10/8の期間、屋外気象測定、構内の温熱環境測定、利用者滞在状況、快適性調査を行った。駅構内は屋外よりも空気温度が高く、特に夜間に屋外との温度差が大きくなっていた。駅構内では気流速度が大きいところで空気温度が低く、気流速度が小さいところで空気温度が高い傾向が見られた。南北に走るコンコースの中央部にある改札エリアで最も室温が高かった。躯体表面温度は日中著しく高くなり、夕方になっても下がりにくい傾向が見られた。自由通路内の滞在者は昼頃と夕方に特に多かった。滞在場所と温熱環境に相関関係は見られず、環境の悪い場所に人が多く滞在している場合があった。以上の結果を踏まえ、次年度に具体的な提案を行う。 また、半屋外環境において冬季の熱的不快感を軽減するタスク環境改善ユニットの開発を別途行った。半屋外でもそのまま使用できるよう、最大6人がけのストリートファニチャー型とした。消費エネルギーを最小限にするため、照明と接触面での採暖を兼ねることとした。物理環境測定の結果、背もたれ・手置き・移動型座面の各表面で30℃〜40℃前後に暖まる事がわかった。延べ50人の被験者実験の結果、ベンチに座る前の状態では不快と感じる人が86%を占めていたが、ベンチに座ると不快が緩和され、着座後10分で18%まで減少することがわかった。一方で、下腿を温めて欲しいとの申告が多く見られ、この点は今後の改善が望まれる。
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