2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760439
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
水野 雅之 東京理科大学, 総合研究機構, 助手 (40366448)
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Keywords | 避難 / 危険回避 / 被験者実験 / 火災 / 建物火災 / 人間行動 / 放射熱 / シミュレーション |
Research Abstract |
建物火災時の避難安全評価シミュレーションを開発中である。これに導入する避難者モデルとして、(1)出火室での避難歩行時の火炎の回避行動(火炎を迂回する際の必要離隔距離)、(2)出口前の滞留時の火炎の回避行動(静止1状態での火炎との必要離隔距離)を明らかにすることを目的として、大学生(男子26名、女子10名)を被験者とし実験を行った。 実験は、縦横約12mの実験室で天井高さを2.7mとして、火源に使用するヘプタンを燃料としたプール火災におけるIパンの大きさを変化させることで、火炎の幅や高さを変化させて実施した。被験者には、顔の高さで放射計を火炎に向けて持ってもらい、実験中に火炎から受ける放射熱を逐次測定した。また、床面に火源を中心として放射状に目盛りを付けることで、観察により離隔距離を測定した。実験毎にアンケート調査を行い、各被験者の回避行動が火炎の大きさから受ける心理的な回避行動か、あるいは火炎から受ける熱に対する回避行動か、確認した。 本実験を実施する前に立てた予想では、火炎が天井で展炎するような比較的大きな火炎になると、その火炎の危険性を視覚的に捉えることで回避行動を取ると考えられたが、実験の結果、天井面に展炎する条件ではその分被験者に及ぶ放射熱も増大しており、結果として熱的影響に対して離隔距離を決定する傾向が強かった。従って、視覚的に危険性を感じて離隔距離を決定した条件は、火炎高さが低いほど選択される傾向が強かった。ただし、火炎高さが高いほど離隔距離は長くなる傾向が見て取れた。 これらの実験結果に対して、(1)危険性を視覚的に捉えた場合の火炎高さと離隔距離の関係を表す近似関数を求めた。また、(2)危険性を熱的に捉えた場合の受熱量(放射熱流束)に関するヒストグラムを作成し、分布形に対して対数正規分布を仮定することで比較的一致することを明らかとした。
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