2006 Fiscal Year Annual Research Report
色彩を含めた街路景観の定量的把握手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
18760447
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三宅 諭 岩手大学, 農学部, 講師 (60308260)
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Keywords | 街路景観 / ゆらぎ / カラー画像 / 定量評価 / 心理評価 |
Research Abstract |
これまでの街路景観の研究では、写真やCGなどの画像を用いてSD法などの心理評価実験を行い、その景観の持つ雰囲気を言葉で表現していた。しかし、近年において、街路景観の空間的特性を定量的に把握し、数値で表現しようという研究が増えてきており、その中でも「ゆらぎ」の考え方が注目されている。 本研究では街路景観を取り上げ、色彩を含めた街路景観の定量化を図る方法を開発し、その有効性を検証することを目的としている。 本年度は、視点移動を伴わない街路のシーン景観カラー画像を数値化し、ゆらぎ値を用いて定量的に把握する方法を開発するとともに、SD法による心理評価実験を行い、カラー画像のゆらぎ値と心理評価との関係性を明らかにした。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)幅員の違いによるゆらぎ値の差は見られなかったが、街路樹の樹種の違いによりゆらぎ値に差が見られた。 (2)心理評価では幅員の違い、樹種の違いにより評価に影響が見られた。 (3)幅員が異なる場合、ゆらぎ値と活発性、緑樹性との間にやや強い相関が見られ、幅員の差がゆらぎ値と各因子との関連性に影響を与えている。 (4)ゆらぎ値と緑量との関連性について、緑量が多くなるほど「1/fゆらぎ」に近づく傾向にある。 (5)ゆらぎ値が-1に近づくほど、因子得点も高まる傾向にあり、定量評価と心理評価との関連性が見られる。 今年度は、ゆらぎ値と緑量に関連が見られることを明らかにすることができたが、心理評価では緑量と評価との関連が見られなかった。「1/fゆらぎは心地よいと感じる」とされているが、今年度の成果では十分に実証されたとは言い難い。また、今後の課題として、季節による差異、カラー画像によるゆらぎ値とモノクロ画像によるゆらぎ値の差異の検証が必要である。
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Research Products
(1 results)