2008 Fiscal Year Annual Research Report
高架構造物の撤去・再利用を通じた都市空間再生の計画手法に関する研究
Project/Area Number |
18760450
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村山 顕人 Nagoya University, 環境学研究科, 准教授 (60396760)
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Keywords | 高架構造物 / 都市空間 / 都市再生 / 計画手法 / 検討体制 / 検討プロセス / 制度 / 財源 |
Research Abstract |
高架構造物の撤去・再利用には単純撤去型、地下化、移設型、再利用型の各方式が、また、跡地を含む都市空間の再生には河川の復元と周辺市街地の再開発、オープン・スペース整備と複合開発、地上ブールバールの整備と水辺空間の再生など多様な方式があることを確認した。そして、各事例の方式が高架構造物の物理的状況、広域・地域交通政策、河川や水辺の状況、周辺市街地の性格・状況と再生戦略、経済活性化方策といった分野・要素との関連性から、どのような体制の下、どのような計画プロセスや検討作業を経て最適解と判断されたのかを明らかにしようとした。 アメリカの各事例(シアトル、ポートランド、ボストンほか)については、収集した情報に基づき、各事例の計画プロセスを複数の検討作業の単位に分解し、各作業単位の作業内容とその結果の概要を整理することができた。計画プロセスの分解方法は事例によって異なるが、計画プロセスは大きくは次の段階に分けることができた。 第1段階 : 高架構造物の撤去・再利用の方式に関わる複数代替案の検討 第2段階 : 水辺や河川を含む周辺の都市空間の再生に資する関連分野・要素の基本的方向の設定 第3段階 : 高架構造物の撤去・再利用の方式に関わる最終計画案と周辺の都市空間の再生に関する詳細計画の策定 アジアの各事例(東京、小牧、ソウル)については、アメリカの各事例のような体系的な計画プロセスはなく、むしろ、政治的なプロセスを通じて、高架構造物の撤去・再利用による都市空間再生が検討(ソウルの場合は決定そして実現も)されていることが明らかになった。 ヨーロッパの各事例(デュッセルドルフ、カールスルーエ、パリ)については、文献・インターネット調査による情報収集や現地調査の手掛かりの獲得の難しさに直面し、アメリカ及びアジアの各事例ほど深い研究ができなかったのが実情である。
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