2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市住宅配置の視点から見た「世帯のCO2排出量削減行動の誘導施策」の研究
Project/Area Number |
18760459
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
唐 ペン 京都大学, 工学研究科, 助手 (40378815)
|
Keywords | 都市 / 世帯 / CO2排出量 / 協力行動 / 住宅配置 |
Research Abstract |
都市のCO2排出量を低減する数値目標を都市に居住する各世帯に分担させ、世帯の行動による世帯の年間CO2排出量(HACO2)の調整によって、都市のCO2排出量の削減目標の達成が可能になると考える。世帯の行動選択はコストの大きさに依存することが多い。CO2排出量取引を家庭部門へ導入することによって、低コストで効果的にCO2排出量の削減を図ることが可能になると考えられる。そのため、世帯間の排出量取引(CETS)の仕組みを構築した。本研究は都市に居住する各世帯のHACO2の制約は都市のCO2排出量の削減目標によって決定する。世帯はHACO2の制約を越えず、かつ、削減に要する費用をできる限り抑えるように、住宅の立地選択、通勤などの行動を採ると仮定する。4人家族の世帯を研究対象として、上記行動選択をMulti-Agent Simulatorで再現した。世帯のHACO2を一定の期間、一定の水準まで削減するために、各世帯の可能な行動選択をシミュレーションで明らかにする。さらに、世帯を対象とするCETSを導入した場合、導入の前後における世帯の行動の変化と都市のCO2排出量に及ぼす影響を明らかにすることが目的として18年度の研究を展開した。 その結果、世帯が年間CO2排出量の制限を受ける場合、HACO2を削減する行動を採ることは可能であった。CETSの導入によって、より低いコストでCO2の削減が可能であることが分かった。CO2排出量を削減する行動を採る世帯の数がCETSを導入しない場合より約3割増えた。さらに、CO2排出権の取引によって、CO2排出権を必要とする世帯に譲渡したため、都市のCO2排出量の削減が進んだ。しかし、CO2排出量を削減すると費用が発生するので、世帯が都市CO2排出量の削減目標の達成のために、積極的に削減行動を採ることができなかった。削減目標を決定した期間内に達成するためには、今後世帯の利得と削減の状況を繋ぐ、世帯のCO2排出量の削減行動を誘発する施策の探索が必要となる。
|