2006 Fiscal Year Annual Research Report
日英の低・未利用地の再生による持続可能な地域・都市の再生と創造
Project/Area Number |
18760462
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (30351240)
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Keywords | 地方都市近郊 / 景観計画・戦略 / 低・未利用地 / 環境創出 |
Research Abstract |
1.日本の事例 今年度調査を行った高野山東側周辺集落である東又・富貴においては、人口減少・高齢化・過疎化の進行に伴い集落の一部において低・未利用地の進行が見られる。かつて存在した住居や田畑は減少傾向にあり、そうした跡地に槙などが植えられた樹林地や、管理不足となった荒地が増加傾向にあることがわかった。かつては山のふもとから頂上付近までを畑として開拓した東又においては、1963年以降に農作地の縮小が始まり、現在は現存する民家周辺に見られるのみとなった。1970年代以降に人口の転出が始まり、住宅や畑の跡地が樹林地となり、斜面地に点在する民家への見通しが確保できなくなったことから、集落内でのコミュニケーションにも影響を与えたことが考えられる。 2.イギリスの事例 リバプール・マンチェスター圏における両市の中間に位置し、環境再生の取り組みでの歴史があり、低・未利用地に関する方針を打ち出し、活用を進めているセントヘレンズ町の調査を行った。1970年代から広大な林地を創出し、「荒廃地から林地」事業では約300haにもおよぶ低・未利用地の造成を行い、林地や公園緑地を創出している。近年では低・未利用地における環境創出をはじめ、再生を促進するための全体的な方針にあたる景観計画・戦略「セント・ヘレンズ景観マスタープラン」(2003)を策定している。結果から、セント・ヘレンズでは、低・未利用地の環境創出により良好な環境において再開発を行うことが可能となり、環境向上のみでなく経済的にもメリットがあると捉えて低・未利用地の環境創出やそれらを取り入れた景観計画・戦略を推進している。景観計画・戦略からは、開発事業の半数、事業・工業用地の8割が良好な環境の立地を選定していることが伺え、主要道路付近には農用地や低・未利用地の環境創出が行われた公共緑地が存在することが地区の特徴として挙げられる。 フォレスト・パークの事例では、既存の林地の2倍以上に植林を増やし、連続した林地を形成すべく地域の3割近くを林地にする計画・予定が提案され、新たな植林の促進が主な取り組みであることがわかった。
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Research Products
(13 results)