2007 Fiscal Year Annual Research Report
既存住宅地等の町並み再形成に資する国内木材製品の生産・供給手法に関する研究
Project/Area Number |
18760465
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
川鍋 亜衣子 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (40404850)
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Keywords | 木造化 / 木材利用 / 林産資源活用 / 公共事業 / 環境負荷 |
Research Abstract |
本研究では,地場産材を使用した公的な建築物を計画する際の地域との関わりと影響について検証した。以下に結果を示す。 (1)耐火構造であることが求められる大規模な建築物(集合住宅)を木造で実現するには,コストが第一の障害となる。一戸あたりの単価は,多層階(4階建て)木質構造とした場合,通常のRC造に対して1方向木質ラーメン構造仕様で2割高,被覆型木質耐火構造仕様で1割高の試算となる。建設コストによる単純比較を回避するには,社会的なPR効果や産業活性・人材育成,景観構築に対する貢献について,CASBEE等の何らかの指標を利用しながら示す必要がある。 (2)短期間に大量の木材が求められる大規模な工事では,納材期間と納材方法が第二の障害となる。取りまとめを行う窓口が不可欠であり,公的な事業では多数の会員で組織された木材産業団体がそれに対応することになるが,一時的な業務のための人材や体制の確保が難しく,支援が必要である。納材期間は,通常の公共建築物の工程にならうと,正式発注から最終納材までの期間は4ケ月間程度であり,木材調書の確定前に仕様や価格帯について情報を得られるようにしたり計画を何期かに分離したりするなどして,納材の準備ができる体制とリスク回避の取り決めなどが必要である。 (3)木材業界が地場産材による公的な建築物の事業を推進するには,地場産材の利用が効果的であることを示す必要がある。環境負荷の観点から,地場産材(秋田スギ)と輸入材(北欧材)におけるLCA分析を試みたところ,総合的なCO2排出量については必ずしも地場産材に優位性があるとは言えなかった。今後,乾燥工程や部材仕様,負荷の少ない燃料・発電手法の採用など様々な工夫を行い,根拠となるデータを整備しなければならない。
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Research Products
(7 results)