Research Abstract |
平成18年度は,事前復興計画論の射程と構成を検討するため,震災対策として実施された2つの復興訓練,(1)練馬区桜台地区における震災復興まちづくり模擬訓練,と(2)東京都都市整備局による都市復興図上訓練に実施協力し,参加者アンケート調査などを実施した. 桜台の訓練は平成18年7月から平成19年3月にかけて区役所が地元町内会によびかけて実施された.本研究としては,内閣府の首都直下地震被害想定の計算方法をベースに,地区スケールでの被害想定図を作成したり,復興資源や復興計画を検討するための空間データベースについて実装をおこない,訓練に活用した.この空間データベースは,訓練終了後,市民,行政,専門家が震災に備えて復興まちづくりを始める,ための情報資源となるよう,内容などの検討を行った.桜台の訓練では「地域協働型」で復興まちづくりを進めていく際のプロセスについてフローとして整理できた反面,訓練後のまちづくりに読み替えができる,まちづくり計画の形成までは至らなかった.練馬区では平成19年度に引き続き「震災復興マニュアル」の策定を予定しており,策定への協力を通して,事前復興のまちづくりと地域協働のあり方について引き続き考察する予定である. また東京都都市整備局による都市復興図上訓練を通して,行政発意型で復興まちづくり計画を提案する場合の項目内容や表現方法について検討し,また神戸で大きな課題となった被災者の納得を得ながら復興都市計画を進めていくプロセスについて,検討をおこなった,区市の条例で指定する市街地復興区分や被災市街地復興特別措置法による建築制限の活用など,通常時の都市計画とは異なる復興都市計画特有の計画形成手法についての検討と課題を整理した一方,復興まちづくり計画の内容と表現方法については,計画形成技術として検討の余地が残され,平成19年度に継続して検討する予定である.
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