2006 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市を対象とした時系列都市計画データベースの構築とその応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18760477
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
浅野 純一郎 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (10270258)
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Keywords | 都市計画図 / 法定都市計画 / 次系列別 / 通時的都市計画データベース / GIS / 地理情報 / 地方都市 / 旧都市計画法適用都市 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の主要地方都市群(近代都市計画の歴史に照らした研究である為、大正期までに旧都市計画法が適用となった43市と扱う)を対象として、最初期から現在にいたる法定都市計画を通時的に把握できるツールを作ることにある。具体的には、これらの都市の代表的時点(最初期、敗戦直後期、線引き直前期、線引き直後期、用途地域12種類化直後期、最新期の6時点)における都市計画図を基に、主な都市計画(区域、街路、公園、用途地域)をGISソフトを用いて電子データ化しデータベースを構築する。 研究実施計画において本年は、各都市の都市計画データ収集を行うと共に、並行してGISデータベースの構築を進める時期として位置づけられる。研究を進めて行く中で、順調な部分とそうではない部分が判明してきた為、その事柄を含め、本年の実績を記す。 1.各自治体から代表的時点における都市計画図面の収集を行う為に、アンケート調査を実施した。尚、最初期の図面は、平成16-17年度の科研費テーマの実績で収集済みであった為、これに続く5時点の収集調査を行った。この結果、全ての時期で都市計画データが収集できたのが43市中20市、1時点で欠けるものが8市、2時点で欠けるものが1市であり、計29市では、概ね貴重なデータ収集を行うことができた。しかし、12市からは回答がなく、これらの都市では通時的なデータストックが難しくなった。これは誤算ではあるが、あそらく、これらの自治体では過去の都市計画データを保管していないことが想定され、自治体での過去の都市計画資料の保管状況を知る上では、逆の意味で貴重な情報が得られた。 2.GISへの都市計画図面の地図入力は、当初研究期間中に全都市の入力完了を目標としていたが、労働力とGISソフトの数の問題から、これも難しいことが判明した。GISソフトは約50万円する為、2ライセンスの保有が限界であり、これによりデータ入力者の数も制限される。本年は、3都市での入力終了を目標とした。 3.しかし、すでに6時点全てでの入力が完了した長野市と金沢市を例にとると、構築されたデータベースの硬化は非常に大きく、感動的ですらある。都市計画の変更の場所を時点毎にリアルに把握出来るばかりでなく、その変化量を正確に知ることができる。長期的スパンにおける都市計画の定点観測的研究を行う際に、非常に有効なツールとなりうることを確認した。次年度は、さらにデータ基盤の完成都市数を増やしていきたい。
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