2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける文化遺産のオーセンティシティに関する比較研究
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18760489
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
清水 重敦 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 文化遺産部, 主任研究員 (40321624)
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Keywords | オーセンティシティ / 中国 / 韓国 / ソウル崇礼門(南大門) / 火災 |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は、韓国及び中国における文化遺産の保存に関する現地視察をおこない、日韓、日中における文化遺産のオーセンティシティに関する考え方の比較につとめた。現地視察としては、(1)韓国ソウル崇礼門(南大門)火災後調査状況視察及び担当者との討議(渡航費は別途支出)、(2)中国山西省における歴史的建造物の現地視察、をおこなった。(1)では、調査担当の韓国国立文化財研究所研究員より調査状況及び修復基本方針を聞き取り、日本における過去の事例(法隆寺金堂、鹿苑寺金閣)についての情報を提供した。焼損部材の丁寧な保管と調査の手法は、木造建築の火災時対応に共通する手法であり、国間での手法の共有が再確認された。被災建物のオーセンチィシティに関しては、構造システムの保持、形式を担保する材料の保存に力点が置かれることが理解された。(2)では、中国における既往の現地調査及び聞き取りを踏まえ、山西省北部所在の歴史的建造物の保存、修復状況を現地で確認した。具体的には、仏宮寺釈迦塔、南禅寺大殿、仏光寺大殿、晋祠聖母殿塔を調査した。 これらの他、昨年度までの調査に基づき、朝鮮史研究会での報告「朝鮮総督府建造物修理事業史研究のアクチュアリティー」及び下記の論文発表をおこない、下記図書において、文化遺産のオーセンチィシティの枠組みに関する内容を、本研究の成果をふまえて執筆した。 以上を踏まえ、東アジアにおける文化遺産のオーセンティシティに関する基本的な考え方につき、研究報告書に記載し、研究のまとめとする。
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