2006 Fiscal Year Annual Research Report
その場結晶成長・粒子配向を利用した高機能セラミック多孔材の創製
Project/Area Number |
18760512
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 克己 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (20337710)
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Keywords | 結晶成長 / 構造・機能材料 / セラミックス / 多孔質材料 |
Research Abstract |
平成18年度は、ケイ素化合物であるムライトの結晶成長、形態制御及びセラミック基材表面でのムライトの結晶成長、形態制御について、溶液法を用いた手法について検討した。 アルミニウム及びケイ素源として、それぞれのアルコキシドを用い、エタノールに添加し、攪拌後、純水を添加して加水分解させた。加水分解後、さらに攪拌し、得られたゲルを乾燥・粉砕することにより、針状ムライト前駆体を合成した。また、この前駆体を熱処理したところ、1200℃以下の熱処理ではアモルファス相であったが、それ以上の温度で熱処理すると、ムライトが結晶化した。また、熱処理によるムライト前駆体の形態変化を透過型電子顕微鏡で評価したところ、1200℃以下ではナノサイズの微細な粒子が集合し、針状粒子を形成していたが、1200℃以上になると、ムライトの結晶化に伴い、微細な粒子が粒成長し、1300℃以上では特異な形態を持つ針状ムライト多結晶体となった。以上の結果から、特殊な処理なしで針状形状を有するムライト前駆体及び粉末の合成が可能であることを見出した。また、熱処理温度と結晶相、比表面積および形態の関係を明らかにした。 さらに、上記の手法を応用して、セラミック基材表面でのその場加水分解による針状ムライトの生成を試みた。上記と同様のアルコキシド溶液に、ムライト基材を浸漬した後、純水に浸漬し、その場加水分解させることにより、針状ムライト前駆体を基材表面に生成することができた。この基材を熱処理し、結晶化した針状ムライト粒子を基材表面に生成させることができた。 来年度、上記の手法に加えて、水熱合成を利用した特異形態を有する粉末及びペレットベースでの結晶粒子形態・配向制御を主として行う予定であり、今年度、購入した水熱合成装置を用いて予備実験を行った。 今年度得られた成果の一部は、国際会議にて発表した。
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