2006 Fiscal Year Annual Research Report
CFRPにおける繊維・マトリックス界面の力学的特性評価
Project/Area Number |
18760515
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡部 朋永 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50344164)
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Keywords | CFRP / ドロップレット / FEM / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
近年,航空宇宙分野では,軽量で比剛性・比強度に優れた繊維強化複合材料が大幅に適用されている.特に,軽量性を有する炭素繊維強化複合材料(Carbon fiber reinforced plastic, CFRP)が航空機の主要構造部材への適用が始められている.このような過酷な荷重条件で複合材料の強度信頼性を確保する必要があるが,強化繊維と樹脂から構成される複合材料の強度特性を支配する要因は複雑であり,その構成材の機械的特性や繊維・樹脂界面の接着状態によっても左右される.従って,複合材料の強度評価の上では界面特性値を適切に評価することが重要であり,本研究ではマイクロボンド試験法を用いた繊維強化複合材料の界面特性に関する定量的評価法の確立を目的とした. まず,実際にT800S炭素繊維1エポキシ樹脂を用いたマイクロボンド試験を行い,繊維埋め込み長さと引き抜き荷重の関係について調べた.また,後の章で樹脂の塑性変形やドロップレットの形状による影響について考察するため,引張試験により樹脂の引張特性を,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたドロップレットの形状を測定した.次に,マイクロボンド試験結果について有限要素法に基づく数値シミュレーションによって検証した.実際のマイクロボンド試験に見られるドロップレット形状や,母材の塑性変形,母材に発生するクラックの影響を考慮して,マイクロボンド試験の繊維引き抜き過程における損傷発生・進展のシミュレーションを構築した.このシミュレーションにより,マイクロボンド試験が他の試験法に比べて低い界面特性を与える要因について考察した.また,この考察を基に,マイクロボンド試験において純粋な界面特性値を評価する方法について提案した.この手法により,T800S炭素繊維/エポキシ樹脂の実験結果を再現でき,繊維強化複合材料の定量的界面特性評価法として有効であると示した.
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