2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボン充填コンパウンドを用いたマイクロアクチュエータの開発
Project/Area Number |
18760517
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Technology |
Principal Investigator |
君家 直之 Osaka Prefectural College of Technology, 総合工学システム学科システムデザインコース, 准教授 (60332037)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 高分子 / マイクロ成形 / 力学的特性 / 熱的特性 / 電気的特性 / 微細構造 / アクチュエータ |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)とポリマー材料を用いたマイクロアクチュエータの開発を目指して、昨年度は他材料との接着性が良好であるカップスタック型カーボンナノチューブ(CSCNT)を強化材としたエポキシ系コンパウンドの製造方法と各種物性の評価とを行った。その結果自転公転式真空脱泡撹拌機とシリコンゴム反転型を用いたCSCNTの混練分散および混合樹脂注入手法と、ナノコンポジットの成形工程中に電界を作用させる手法とを組み合わせることにより、高い性能を持つ任意形状の微小複雑形状部品を製造する技術を確立した。しかしながらCSCNTでは充填可能混合率が1.0wt%以下であったため、本年度はより嵩密度が低く、繊維アスペクト比が高い気相成長型CNTを強化材として用いることにより、さらに高い複合効果が得られる材料系を選択した。これによりCNTの混合率は7wt%まで高めることができ、前年度得たナノコンパウンドよりもはるかに高い力学的特性、熱的特性および電気的特性を実現することが可能となった。 次にナノコンパウンドをマイクロアクチュエータ素子として利用するための基礎研究を行うため、エポキシ樹脂を含むさまざまなマトリックス樹脂を対象として、これまでに確立した手法によりCNTとの複合化を行うことを試みた。その結果、柔軟性を付与したエポキシ樹脂およびシリコンゴムをマトリックスとして用いることにより、CNTを充填したナノコンパウンドが熱および電圧の印加に対して伸縮動作を示すことが確認された。しかしマトリックスが高粘度であるため製造工程でのCNTの構造制御が困難であり、伸縮動作の良好な再現性を得ることはできなかった。今後の課題として、コンパウンドの成形中あるいは成形前にCNTの十分な絡み合いと繊維配向を得る技術を確立することが必要ではないかと考えられる。
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