2006 Fiscal Year Annual Research Report
核生成理論に基づくバルク金属ガラスから準結晶への相変態機構の解明
Project/Area Number |
18760520
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羌 建兵 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70420007)
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Keywords | 金属ガラス / 準結晶 / 核生成理論 / 相変態 |
Research Abstract |
今年度は、バルク金属ガラスおよび正20面体準結晶と共に関連するZr-Ni-(Al,Ti)合金系に着目し、Zr9Ni4という正20面体準結晶クラスターを原点として、(Zr_9Ni_4)75(Al_<1-x>Ti_x)_<25>合金系を設計し、合金元素の種類は金属ガラス相あるいは正20面体準結晶の形成には極めて重要な因子であることを証明した。 Alリッチの組成域(x<0.2)では、金属ガラス単相が形成されることに対して、Tiリッチの組成域(x>0.8)では、正20面体準結晶単相が形成された。また、中間組成域(0.2<x<0.8)では、金属ガラス相と正20面体準結晶相の混相が形成されることが確認された。合金元素AlとTiの原子径がほぼ等しいにもかかわらず、正20面体準結晶の基本元素ZrおよびNiとの混合熱がそれぞれ異なって、TiとZrとの間は0混合熱を有することに対して、TiとNiとの間は負の混合熱を持っているので、TiとNiとの優先的な結合は、Zr9Ni4正20面体の配列には有利ので、結果として準結晶構造が形成された。一方、AlとNiおよびAlとZrとの間はともに負の混合熱を持っていて、優先結合ペアーはないので、Alの添加により、ZrgNi4正20面体の配列が混乱された結果として、金属ガラス相の形成に有利である。以上の研究結果から、正20面体準結晶クラスターを元にして、適当な合金元素の添加により、新型の金属ガラスあるいは正20面体準結晶を設計することが可能であると考えられる。また、ガラス相と正20面体準結晶相との構造的な関連性により、既知のガラス相あるいは正20面体準結晶相の組成から、新たな正20面体準結晶相あるいはガラス相を開発できると予想される。たとえば、我々Zr_<65>Al_<10>Ni_<10>Cu_<15>バルク金属ガラスにNbを添加し、体積分率を90%超える準結晶相を持つ準結晶基の複合材料を創製した。これまでの準結晶材料における組織の緻密度が低いという欠点を克服し、良好な機械的性質を示した。この成果を纏めた研究論文は、すでにIntermetallics雑誌に受諾された。
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