2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18760526
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永瀬 丈嗣 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (50362661)
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Keywords | 金属ガラス / 金属アモルファス / ものづくり / 実用化 / 細線 / ワイヤー / 生体材料 / 溶融抽出紡糸法 |
Research Abstract |
生体内加重保持用ワイヤー材料ならびに生体再生用足場ワイヤーメッシュ材料には、生体親和性・高強度・低ヤング率の3点が要求される。金属材料は、基本的には生体にとって異質の材料であり、生体親和性の観点からは再生材料の使用が求められる。しかし、"生体内で付加される大きな加重"を効果的に支えることの出来る高強度ワイヤー材料としては金属材料をおいて他に候補はなく、現実には様々な分野で生体用金属ワイヤーが使用されている。金属-生体親和性等の観点からすれば、一部のTi・ZrおよびPt-Pd基合金がその候補材料となるが、いずれも生体骨に比べ極めて高いヤング率を示す致命的問題点があり、応力が付加された場合、ヤング率の違いにより、人工骨/生体骨界面に弾性歪を生じ、長年の使用の際に界面剥離を誘発してしまう。一般に金属ワイヤー材料は、「強度を増すとヤング率も上昇する」ため、従来型材料学的手法による「高強度・低ヤング率生体用金属ワイヤー材料の開発」は停滞状況に陥っている。 本研究では、生体材料と金属材料の宿命的課題・ジレンマを解決すべく、近年開発された金属結晶材料とは異なるカテゴリーに属する「金属ガラス」と呼ばれる新たな金属材料群を用いた生体用金属ワイヤーの開発を試みた。その結果、Vitreloy系合金、BAM-11系合金、Zr-Al-Ni-Cu系合金において、Zr基金属ガラス細線の作製を達成した。本成果は、従来型のアモルファス細線作製手法である回転液柱紡糸ではなく、新たに開発された溶融抽出紡糸法を用いて達成されたものである。また、本研究により作製された金属ガラスワイヤーは、1GPaを超える高強度を有しながらも、密着曲げ可能なほど良好な延性を有していることも明らかとなった。
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