2006 Fiscal Year Annual Research Report
1400℃以上での安定使用を可能とする超高温構造材料用シリサイド複相合金の創製
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18760529
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩原 幸司 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (10346182)
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Keywords | シリサイド / 高温強度 / 変形機構 / 室温靭性 / 単結晶 / 転位 / 複相結晶 / ラメラ組織 |
Research Abstract |
本年度は、方位制御複相シリサイド結晶の特性改善に向け、相構成制御による組織安定性の評価、および、高温変形機構、室温破壊挙動の解明を行った。得られた結果は以下のとおりである。 1.高温にて高い熱的安定性を保持するラメラ組織は、(Mo,Nb)-Si系および(Mo,Ta)-Si系にてのみ得られることが確認された。このうち特に(Mo,Nb)Si_2複相結晶の変形挙動を評価したところ、極めて強い方位依存性の発現が認められた。例えば、複相界面が荷重軸と平行な方位では、1400℃においても約800MPa以上の極めて高い強度を保持するが、この際の延性は非常に乏しい。一方、界面が荷重軸と45°をなす場合には、300MPa程度の高強度を保持しつつ、かつ数%の塑性ひずみを同時に得ることができる。しかしこの方位においても、1200℃以下においては十分な塑性ひずみを得ることができなかった。個々の単結晶(MoSi_2,NbSi_2)の挙動を基にした事前の予想に反し、45°方位の試料においても低温延性が得られない要因として、複相結晶中に存在するC11_b/C11_bラメラ相界面を介し変形が進行する際、{110}<111]すべりのみでは、界面にてひずみの連続性が満足されないためと考えられる。この改善策としては、高温度域でのみ活動する{013}<331]すべりをより低温で活性化することが有効であると考えられ、第三元素添加の効果等について検討していく必要がある。 2.上記複相結晶は室温靭性も強い方位異方性を示すことが三点曲げ試験より明らかとなった。例えば、クラックがラメラ界面を伝播する際の破壊靭性は約2.1MPam^<1/2>と極めて低い値を示すものの、界面を横切る方位では約3.2MPam^<1/2>程度まで上昇した。さらにその値は構成C40結晶の結晶方位によっても変化することから、その両者の制御により、破壊靭性の上昇を期待することができる。
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Research Products
(2 results)