2007 Fiscal Year Annual Research Report
加工誘起マルテンサイトの分布を制御した耐水素脆化性高強度ステンレス鋼の創製
Project/Area Number |
18760531
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土山 聡宏 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (40315106)
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Keywords | 水素脆性 / オーステナイト系ステンレス鋼 / 加工誘起マルテンサイト / 固相窒素吸収法 / 傾斜機能ステンレス鋼板 |
Research Abstract |
オーステナイト系ステンレス鋼に生成する加工誘起マルテンサイトは、水素の高速拡散経路となり本鋼種の水素脆化を促進する因子と考えられている。ただし、鋼材の高強度化の観点から加工誘起マルテンサイトの生成は有効であるため、本研究ではその分布を制御することにより、強度と耐水素脆化特性を兼ね備えた鋼材の開発を試みた。具体的には、汎用のオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304に対して、試料表層部に窒素を濃化させた後に冷間強圧延加工を施すことにより、表層部は安定なオーステナイト組織を、試料内部には多量に加工誘起マルテンサイトを配置した材料を製造した。試料表層部への窒素の濃化は1200℃の窒素ガス雰囲気での固相窒素吸収法を採用した。実験の結果、一般の冷間圧延材では水素環境(FIP試験)において多量の水素が吸蔵されるのに対して、開発材では外部からの水素侵入が著しく抑制される効果が認められ、昇温脱離分析においては200℃付近に存在する拡散性水素の放出ピークがほとんど現れなくなることが明らかとなった。一方、実際に材料が使用される際には、加工誘起マルテンサイトが存在しない安定オーステナイト組織層の厚さがどの程度必要であるかを理解しておくことが極めて重要である。つまり、安定オーステナイト層が厚くなるほど水素は侵入し難くなると考えられるが、窒素吸収処理に長時間を要することになり材料の生産性は落ちることになる。水素吸蔵処理の手法によると考えられるが、本研究で用いたFIP試験法の場合には、10μm程度の非常に薄い安定オーステナイト組織層であっても顕著な効果を発現することが明らかとなった。さらに、安定オーステナイト組織層の生成挙動に及ぼす固相窒素吸収処理条件、冷間圧延条件の影響も定量評価し、その厚さを制御する指針も確立した.
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Research Products
(4 results)